説明書や申請書、作成した書類を電子メールで送るなど、様々な場面で利用される電子文書の定番と言えるのがPDF(Portable Document Format)ファイルです。
PDFが当たり前になり始めたころは、扱うソフトにも限りがあり、有償ソフトばかりでした。
Adobe社が開発元というのもあり、ファイル閲覧には無償の閲覧ソフト「Acrobat Reader(旧Adobe Reader)」を使用するのが以前は当たり前だったように記憶しています。
そのような経緯もあり、現在も「Acrobat Reader DC」でPDFファイルを閲覧している人は多いのではないでしょうか。
Adobe社ではPDFの作成・編集・変換・署名などを行える有償ソフトと 、閲覧・印刷が主な無償ソフトを提供しています。
Adobe純正のソフトは高性能だと思いますが機能や設定が豊富な為、重い操作に不満を感じたり、自動アップデートなどバックグラウンド動作によるパソコンへの負荷が気になってしまいます。
PDF変換であれば、純正には及ばないかも知れませんが、オフィスソフトやブラウザでも可能ですし、何より私の場合はPDFは閲覧する事が大半を占めます。
閲覧が主な目的であれば、出来る限り軽量でサクサクと軽快にファイルを読みたいですよね。
そこで今回ご紹介するのが、PDFファイルの閲覧・印刷に特化した「Sumatra PDF」というフリーソフトです。
「Sumatra PDF」は余計な機能がなく、軽量でかつ高速に動作するのでストレスフリーでPDFファイルを閲覧する事が可能です。
Portable版もありますので、USBで持ち運ぶ事も出来るので、私にとってはなくてはならないソフトの一つとなっています。
その他のポータブルフリーソフトのお勧めは、下記を参考にして下さい。
それでは「Sumatra PDF」のダウンロードや設定、使い方を簡単に説明したいと思います。
ポータブル版のダウンロード
「Sumatra PDFの公式サイト」に飛びます。
PCのOS(Windows)が32bitなら上部のPortable版を、64bitならファイル名に64と書かれたリンクをクリックします。
ダウンロードがうまく作動しない場合は、上記ウィンドウに切り替わるので再度選択した項目をクリックして下さい。
ダウンロードが完了したら解凍して、任意の場所(USBやポータブルソフト専用フォルダなど)にコピーし、exeファイルのショートカットを作成しておきましょう。
初期設定項目
初めて「Sumatra PDF」を起動すると、ポータブル版では実行ファイルと同一のフォルダ内に、セッティングファイルが作成されます。
こちらのファイルを直接書き換えることで、外観や動作など細かい設定を変更できますが、間違った値など入力すると誤動作の原因となるので、よく分からない方は触らない方が無難です。
詳細設定項目一覧
実行ファイルと同一ディレクトリにあるテキストファイルの項目一覧です。
項目 | 説明 | 初期値 |
MainWindowBackground | 非ドキュメントウィンドウの背景色 | #80fff200 |
EscToExit | EscキーはSumatraPDFを閉じるかどうか | false |
ReuseInstance | 既存のSumatraPDFプロセスを使用して常時ファイルを開くかどうか | false |
UseSysColors | 背景色やテキスト色にWindowsシステムカラーを使用・不使用 | false |
RestoreSession | 起動時にセッションを復元する・しない | true |
FixedPageUI | PDF、XPS、DjVu、PostScript UIのカスタマイズオプション | - |
TextColor | ドキュメントのテキスト色 | #000000 |
BackgroundColor | ドキュメントの背景色 | #ffffff |
SelectionColor | テキスト選択範囲や検索の強調表示の色 | #f5fc0c |
WindowMargin | ウィンドウとドキュメント間の上下左右の余白 | 2 4 2 4 |
PageSpacing | 見開きやブックビューにおける2ページ間の水平および垂直距離 | 4 4 |
EbookUI | 電子ブックUIのカスタマイズオプション | ー |
FontName | 書体の指定 | Georgia |
FontSize | フォントのサイズ | 12.5 |
TextColor | テキスト色 | #5f4b32 |
BackgroundColor | 背景色 | #fbf0d9 |
UseFixedPageUI | PDF文書に使用されるUIを電子ブックにも使用・不使用 | false |
ComicBookUI | 漫画本と画像UIのカスタマイズオプション | - |
WindowMargin | ウィンドウとドキュメント間の上下左右の余白 | 0 0 0 0 |
PageSpacing | 見開きやブックビューにおける2ページ間の水平および垂直距離 | 4 4 |
CbxMangaMode | 漫画本をマンガモードで表示・非表示 | false |
ChmUI | CHM UIのカスタマイズオプション | ー |
UseFixedPageUI | PDF文書に使用されるUIをCHM文書にも使用・不使用 | false |
ExternalViewers | 外部ビューアを呼び出す為のコマンドライン | - |
ShowMenubar | メニューバーを表示するかどうか | true |
ReloadModifiedDocuments | ドキュメント変更で自動的にリロード有無 | true |
FullPathInTitle | タイトルバーにファイルへのフルパスを表示・非表示 | false |
ZoomLevels | ズームイン/ズームアウトレベルの順序 | 省略(8.33~6400の範囲内) |
ZoomIncrement | ズームステップサイズ(パーセント) | 0 |
PrinterDefaults | 印刷のデフォルト設定 | - |
PrintScale | スケーリングのデフォルト値 | shrink |
ForwardSearch | 検索結果の表示方法のカスタマイズオプション | - |
HighlightOffset | ハイライトのオフセット値を指定 | 0 |
HighlightWidth | ハイライト矩形の幅 | 15 |
HighlightColor | 前方検索ハイライトの色 | #6581ff |
HighlightPermanent | ハイライトをマウスクリックまで表示・非表示 | false |
CustomScreenDPI | DPIでのメイン画面解像度 | 0 |
RememberStatePerDocument | ドキュメントの表示設定を別々に保存する・しない | true |
UiLanguage | UI言語のISOコード | 日本語設定ならja |
ShowToolbar | ウィンドウ上部のツールバーを表示・非表示 | true |
ShowFavorites | お気に入りバーを表示・非表示 | false |
AssociateSilently | ファイルの関連付けの自動修正有無 | false |
CheckForUpdates | 1日に1回の更新確認の有無 | true |
RememberOpenedFiles | 開いたファイルと表示設定の記憶有無 | true |
EnableTeXEnhancements | SyncTeX逆検索コマンドラインの表示・非表示 | false |
DefaultDisplayMode | デフォルトのページレイアウト | automatic |
DefaultZoom | デフォルトのズーム率 | fit page |
WindowState | デフォルトのウィンドウ状態 | 1 |
WindowPos | デフォルトのウィンドウ位置 | 状況で変動 |
ShowToc | 目次をサイドバーを表示・非表示 | true |
SidebarDx | サイドバーの幅 | 0 |
TocDy | サイドバーのブックマークの高さ | 0 |
ShowStartPage | 頻繁に読まれるドキュメントのリストを表示・非表示 | true |
UseTabs | タブでドキュメントを開くかどうか | true |
FileStates | 開かれたファイルに関する情報 | - |
SessionData | 最後のセッションの状態 | - |
TimeOfLastUpdateCheck | 最後に更新をチェックした時期のデータ | 0 0 |
OpenCountWeek | OpenCount値の最新性を判断データ | 0 |
ドキュメントを開く事により、項目が追加されたり数値が書き込まれたりする部分については省略しています。
UIからの簡易設定
ソフトのUIから変更できる設定は限定的で全く難しくはないですが、私の個人的な設定を載せておきます。
私の場合は上図の様に「タブを使う」以外のチェックは全て外しています。
必ずしも同じ設定にする必要はありませんが、閲覧履歴などのキャッシュはセキュリティ的な面から「開かれたファイルを記憶する」のチェックも外した方が無難だと思います。
ちなみに「開かれたファイルを記憶する」のチェックを外すと「ドキュメントにこれらの設定を記憶する」項目が自動的にグレイアウトされます。
またソフトの自動更新はせずに、定期的に手動でチェックしています。
更新の確認は、画面左上のハンバーガーメニューのヘルプから手動アップデート可能です。
操作方法
沢山のショートカットがありますが、基本十字キー↑↓あるいはマウスホイールでスクロール、十字キー←→もしくはCtrl + 十字キー↑↓でページ送り、Ctrl + マウスホイールでズームイン・アウトを覚えておけば十分でしょう。
欲を出すならHomeでページ先頭、Endでページ最後、Shift + F11で全画面表示(Escでモード終了)、Ctrl + Tabでタブ切替まで覚えておけば、かなり快適操作になると思います。
キーボードショートカット一覧
公式サイトの情報をもとに、日本語で表にしました。
はっきり言って全部覚える必要はないと思いますが、参考にして見て下さい。
j / k、↑ / ↓ | 行ごとに上下スクロール |
Space | 画面でスクロール |
Shift + Space | 画面をスクロールバック |
n / p | 次/前のページ |
Page Down / Page Up | 次/前のページ |
Ctrl + ↓ / Ctrl + ↑ | 次/前のページ |
Alt + ← | 戻る |
Alt + → | 進む |
Ctrl + G、g | ページに移動 |
Home | 最初のページへ |
End | 最後のページへ |
b | ブックモードでページをめくる |
Ctrl + Shift + → | ディレクトリ内の次の文書を開く |
Ctrl + Shift + ← | ディレクトリ内の前の文書を開く |
Ctrl + O | 新しい文書を開く |
Ctrl + W | 現在の文書を閉じる |
Ctrl + F4 | 現在の文書も閉じる |
Ctrl + S | 名前を付けて保存 |
Ctrl + P | 印刷する |
r | リロードする |
Ctrl + F、/ | テキストを検索 |
F3、Shift + F3 | 次/前を検索 |
Ctrl + Qまたはq | プログラムを終了 |
Ctrl + マウスドラッグ | テキストまたは画像を選択 |
+ / – | ズームイン/ズームアウト |
Ctrl + マウスホイール | ズームイン/ズームアウト |
z | ズームモードを切り替え |
c | 連続/非連続モードを切り替え |
Ctrl + Shift + – | 左に回転 |
Ctrl + Shift + + | 右に回る |
F12 | ブックマーク表示/非表示 |
F6 | ブックマーク/メインウィンドウ切り替え |
Ctrl + LまたはF11 | プレゼンテーションモード |
Ctrl + L | フルスクリーンモード |
Shift + F11 | フルスクリーンモード |
Esc | 全画面またはプレゼンテーションモードを終了 |
. | プレゼンテーションモードで背景を黒 |
w | プレゼンテーションモードで背景を白 |
i | 全画面/プレゼンテーションモードでページ情報を表示 |
m | 文書座標でカーソル位置を表示 |
F8 | ツールバーの表示/非表示 |
F9 | メニューの表示/非表示 |
Ctrl + Tab | 次のタブへ |
Ctrl + Shift + Tab | 前のタブへ |
Alt + 1 | タブ1に移動(数字は1~8番目までのタブを指定可能) |
Alt + 9 | 最後のタブに移動 |
まとめ
今回は「Sumatra PDF」について記事にして見ました。
認知度が高いソフトなのでご存知の方も多いかも知れませんが、現時点で操作性や快適性においてPDF閲覧ソフトとしては私の中でNo1です。
中には「PDF-XChange Viewer」を使用している方もいるかも知れません。
かく言う私も「PDF-XChange Viewer」は現在も併用しています。
「PDF-XChange Viewer」は文字や図形、注釈などの挿入、蛍光ペンでの装飾やパスワード保護等、簡易な編集にも対応している為、それらの用途では今でも重宝しています。
後継ソフトの「PDF-XChange Editor」は、無料での制約や若干の使いにくさから現在は使用していません。
「PDF-XChange Viewer」の開発中止が悔やまれます。
話は少し逸れましたが、PDFファイルの閲覧と印刷であれば、「Sumatra PDF」で必要十分でしょう。
ポータブル版でも高速動作で操作も簡単なので、誰でも扱えるソフトだと思います。